【インターハイ2026東京勢展望・上】今季高校リスト1位の男子走高跳の清水、女子砲丸投の圓は優勝候補としての戦いに

 高校日本一を決めるインターハイ陸上競技は7月30日~8月5日、滋賀県彦根市の平和堂HATOスタジアムで開催される。昨年の古賀ジェレミー(東京。現順大1年。110mH高校記録保持者)のような絶対的な選手はいないが、多くの種目で今季高校リストの上位に東京勢が位置している。2日目までに登場する男子走高跳の清水怜修(明星学園3年)と女子砲丸投の圓(まとめ)成美(藤村女3年)は、今季高校リスト1位で決戦に臨む(データは日本陸連ホームページのランキングに準拠)。東京勢の活躍を日付毎に展望していく。

■Day1(7月30日):男子走高跳の清水は勝負強さが武器■

 初日の東京勢では男子走高跳の清水が、出場選手中自己記録(2m12)トップでインターハイに臨む。

 5月のインターハイ東京都予選で跳んだ2m10は今季高校リスト1位タイの記録だが、同じ2m10を西内尊(中村2年)もインターハイ四国予選でマークした。2m07~09は7人が跳んでいる。大混戦と言っていい状況なのだ。

 だが清水には勝負強さがある。23年の全日本中学選手権に優勝、昨秋の国民スポーツ大会でも4位に、U18陸上でも6位に入賞した。インターハイが混戦になっても、勝負どころの高さを確実に1回目でクリアするメンタルの強さがあるだろう。

 もちろん、記録を大きく伸ばす可能性もある。シーズンベストは2m10だが、昨年は2m12をクリアしている。自己記録以上を跳べば混戦から抜け出すことができる。

 男子八種競技は前半の4種目が行われる。5538点で南関東予選に優勝した佐野遥(板橋3年)、5518点で2位だった藤田千宏(小山台3年)は、8位以内で前半を終えたい。

 男子400mで今季高校リスト5位(47秒08)の砂川響介(明大八王子3年)、男子1500mで今季高校リスト8位(3分47秒84)の圓(えん)太喜(城西3年)は、余裕を持って予選を通過したい。

■Day2(7月31日):女子砲丸投の圓は着実な成長で一気の記録アップ■

 2日目はもう1人の今季高校リスト1位、女子砲丸投の圓が登場する。清水が勝負強さなら、圓は今季の勢いが特徴だ。

 昨年は12m36がシーズンベスト。インターハイは南関東予選で7位と、あと1人で全国大会出場を逃した。今季は4月に12m55と12m81、5月に12m95と13m09、6月に13m21と自己新を連発。6月時点でも今季高校リスト5位に付けていたが、7月の東京都高校選抜で14m10と一気に89cmも自己記録を更新。高校リストトップに躍り出た。

 記録を見ると、14m前後を安定して出す力があるかどうかは未知数だが、圓と藤村女の中川信太郎監督に取材をすると、堅実な成長過程を踏んできたことがわかった。中川監督は短距離出身で、全国トップレベルの投てき選手の指導は経験がない。

「他の指導者だったらこれができたら、次はここまで行ける、と一気に高いレベルに向かわせたかもしれません。しかし私は少しずつ学ぶことしかできません。その分、丁寧にかみ砕いて説明したのが、彼女にもわかりやすかったのだと思います。2人で試行錯誤したことが、彼女にとって落とし込みやすかったのでしょう。小さなステップで着実に成長してきました。部員が3人だったことも、1人1人に寄り添う指導ができて、時間をかけて見てあげることができました」

 上記は4月の東京選手権で取材した時のコメントで、当時中川監督は、インターハイでは13m50以上で3位以内を考えていた。だが圓自身は、「14mから14m50で優勝」をその頃から目標としていた。小さなステップで成長してきた選手が、一気に加速してインターハイの優勝をつかみに行く。

 男子400mの砂川は47秒台前半を安定して出している。昨年は47秒02(25年高校リスト11位)を筆頭に、47秒50以内を3レースで出した。今年は47秒08を筆頭に、6月までで47秒50以内がやはり3レース。46秒台中盤に記録を伸ばせば、昨年の小澤耀平(城西。現法大1年)に続いて、東京勢のインターハイ2連勝の可能性も出てくる。

 男子1500mの圓は、南関東予選こそ2位争いに0.02秒差で敗れて4位に終わったが、4月にマークした3分47秒84は今季高校リスト8位。2日目の1500mで入賞し、優勝も期待されている最終日の3000mSCに弾みを付けたい。

■Day3(8月1日):女子の走幅跳とやり投は混戦。東京勢に3位以内の可能性■

 男子100mは準決勝と決勝が行われるが、増田陽太(八王子2年)が決勝に進んでいれば優勝争いも期待できる。

 400 m以上の距離の種目は決勝がタイムレースだが、100 mは準決勝を勝ち抜いた8人で決勝は行われる。今季高校リストでは20位にも入っていないが、増田が得意のスタートで飛び出せば、ライバルたちにプレッシャーをかけることができる。

 女子やり投の新井里奈(南多摩中等3年)も、砲丸投の圓と同様、7月に自己記録を伸ばした。45m25は今季高校リスト10位だが、リスト2位も47m49で差はそれほどない。5位から12位までが45m台である。3位以内の可能性も十分ある。

 混戦なのは女子走幅跳も同様で、南関東予選に優勝した近藤花奏(八王子2年)の5m97(+1.6)は今季高校リスト6位だが、1位選手の記録とは11㎝差。リスト11位の川端梨聖(東京3年)も5m93(+1.5)で、2人ともインターハイ本番で6mを跳べば、3位以内に食い込むことができるかもしれない。

執筆者】 : 寺田辰朗         寺田的陸上競技WEB