高校日本一を決めるインターハイ陸上競技が7月30日~8月5日、滋賀県彦根市の平和堂HATOスタジアムで開催される。昨年の古賀ジェレミー(東京。現順大1年。110mH高校記録保持者)のような絶対的な選手はいないが、多くの種目で東京勢が今季高校リスト上位に位置している。リスト1位の2選手は大会前半に登場するが、大会後半にも有望選手が多数控えている。男子円盤投の福宮佳潤(東京3年)は今季高校リスト2位(データは日本陸連ホームページのランキングに準拠)、男子110mHの淺内湧一朗(日大豊山2年)は同3位。男子3000mSCの圓(えん)太喜(城西3年)も優勝争いに加わるだろう。東京勢の活躍を日付毎に展望していく。
■Day4(8月2日):東京勢4人が出場する女子走高跳で複数入賞の期待■
大会4日目の東京勢では、女子走高跳で複数入賞の可能性がある。谷口天音(白梅学園2年)が1m71で今季高校リスト5位タイ、青柳美玲(駒場2年)が1m70で今季高校リスト10位タイに付けている。
この種目は大混戦で、今季高校リスト上位4人が1m77~1m74のシーズンベストを持つが、5位以下には1m71~70を持つ選手が11人ひしめく。インターハイ本番で3位の選手も9位の選手も、1m70の同記録というケースもあり得ないわけではない。勝負どころの高さを1回目でクリアすることが、メダルや入賞のためには必要となりそうだ。
谷口と青柳以外でも、瀨上真央(八王子2年)が1m68で今季高校リスト20位タイ、原口優香(東京3年)が1m67で26位タイに付けている。この2人も自己新の1m70を跳べば入賞する可能性がある。
地元が同じなど顔なじみの選手が同じピットにいることで、選手は落ち着いて試技に臨むことができる。女子走高跳はA、B2つのピットに分かれて行われるが、同時に進行する。1m65以上にバーが上がったとき東京勢が3~4人残っていれば追い風となる。
■Day5(8月3日):予選からタイムも順位も求められる男子800m■
大会5日目は予選の東京勢に注目したい。
男子800mの予選には、南関東予選に優勝した清川修一朗(駒大3年)が登場する。そのとき予選で出した1分51秒01は今季高校7位。リスト1~2位の選手は1分48~49秒台だが、3位の選手との差は0.68秒と小さい。ラストの強さが勝敗を左右するだろう。南関東予選の清川は、現在1分50秒台の記録を持つ2選手に勝つなど勝負強さを発揮した。
しかしインターハイは予選も決勝も、ペースを作る力とラストで競り勝つ力の両方が求められる。大会6日目の決勝は3組タイムレースとなり、3組目に予選タイムの良い選手が集まるシステムだ。入賞するためには3組目に入る方が有利となる。そのために予選は、タイムと着順(各組2位以内と3位以下のタイム上位者8人)の両方が必要で、場合によっては自身がレースを引っ張る必要もある。予選の清川がどんな走りをするか、注目したい。
男女の4×100mRも予選が8組行われ、各組2位以内と3位以下の記録上位8チームの、計24チームが翌日の決勝(3組タイムレース)に進出する。男子では40秒36の今季高校リスト11位のタイムを、明星学園が南関東予選で出している。女子では東京が、46秒05の今季高校7位タイムを7月に入って出した。
女子では46秒38を出した八王子も含め、3チームとも予選は問題なく通過するはずだ。
■Day6(8月4日):勝負弱さを克服しそうな福宮と、安定した強さが特徴の酒井に優勝争いの期待■
大会6日目は男子円盤投今季高校リスト2位(50m76)の福宮佳潤(東京3年)と、女子三段跳リスト4位(12m49・+0.3)の酒井珂璃那(八王子3年)、男女のフィールド選手2人が優勝争いに加わる。
福宮は勝負弱さが課題だった。昨年はインターハイ前の25年高校リストで2位(51m28)だったが、インターハイ本番では予選で44m32にとどまり、あと33㎝というところで決勝進出を逃した。昨秋のU20日本選手権も13位、国民スポーツ大会少年Aでも12位と入賞できなかった。
今年も50m76を4月にマークしたが、インターハイ南関東予選は48m86で2位と敗れてしまった。ただ優勝した選手とは46㎝と、記録的には小差だった。昨年の南関東予選は44m23の4位で、優勝者と2m91差があったことと比べれば、課題克服の兆しは見えている。
インターハイ本番で力を発揮できれば、優勝も狙うことができる。
女子三段跳の酒井は、福宮とは対照的に安定した強さを発揮してきた。昨年のインターハイは12m24(-1.7)で6位、U18陸上は12m33(+0.5)で4位、国民スポーツ大会少年Aは12m26(+0.1)で5位。全国大会は全て入賞した。
自己記録は5月のインターハイ東京都予選でマークした12m49(+0.3。東京高校記録)で、野澤和心(甲府南)が南関東予選優勝時に跳んだ今季高校リスト1位記録の12m88(+1.5)とは39㎝差がある。だが酒井は同じ南関東予選で、追い風参考で公認記録にはならなかったが、12m86(+2.9)と2㎝差の善戦をした。
昨年の全国大会で酒井より上位の1、2年生も数人いたが、安定して入賞している点では酒井が勝っていた。インターハイでは13m台と優勝も、現実的な目標とする力あるだろう。
トラックでは男子800 mの清川が、予選タイムの良い選手が集まる3組に出走できれば、優勝争いに加わることができる。
男女の4×100 mR決勝も3組タイムレースで行われる。見る方からすると、1つのレースで勝者が決まる以前の方が緊張感があるが、選手にとってはライバルチームを気にせず自分たちのパフォーマンスに集中しやすいかもしれない。男子の明星学園、女子の東京と八王子の3チームに入賞が期待できるが、記録的にも明星学園には39秒95の東京高校記録更新の可能性がある。
■Day7(8月5日):110mHは大本命選手vs.東京コンビ。スピードで優位に立つ3000mSCの圓■
大会最終日のハイライトは男子110mHだろう。髙城昊紀(宮崎西3年)という大本命選手に、冨永笙ノ介(明星学園3年)と淺内湧一朗(日大豊山2年)の東京コンビがどう挑むか。
髙城は2年前のインターハイで13秒68(-0.7)の高校歴代2位、高1最高記録をマークし、高校新(当時)で優勝した古賀ジェレミーに次いで2位に入った。自己記録の比較では、参加選手中2番目の冨永が13秒91(+1.6)で、髙城が大きくリードしている。今季高校リストでも13秒74(+0.7)の髙城が1位で、13秒95(+0.4)でリスト2位の小木曽蒼真(中京大中京2年)を0.21秒上回っている。
東京コンビのアドバンテージは昨年の全国大会の実績と、今年のインターハイ東京都予選、南関東予選とハイレベルの競り合いをしてきた点だ。冨永は昨年のインターハイで古賀に次いで2位、前述の13秒91をマークした。淺内はU16陸上の110mJH(高さ99.1cm。110 mHは106.7cm)に13秒97(-0.4)で、2位の選手に0.01秒競り勝った。
その2人が今季はインターハイ東京都予選から激突。淺内が自身初の13秒台となる13秒97(+0.1)で、冨永を0.05秒差で破った。しかし南関東予選では冨永が0.01秒差で淺内に雪辱。タイムは追い風2.8mで参考記録となったが、冨永が13秒85、淺内が13秒86だった。髙城の調子にもよるが、優勝争いをすることも可能だろう。
男子3000mSCの圓太喜(城西3年)にも優勝の可能性がある。南関東予選に8分55秒19の大会新、東京高校新で優勝した。今季高校リストでは5位のタイムだが、リスト1位は8分53秒09で2秒10しか差がない。
圓のアドバンテージは1500mで3分47秒84と、3000mSCの今季高校リスト上位5選手の中では最速タイムで走っていること。南関東予選1500mは4位だったが、2位の選手とは0.02秒差の接戦だった。リスト3位の赤坂直人(佐久長聖3年)も1500mで3分49秒90を持っているが、スピードでは圓が一歩リードしている。
東京勢では南関東3位の林昊希(拓大一3年)も8分59秒81でリスト8位。上手くピークを合わせられたら優勝争いに加わることができる。
最終日は男子では4×400mRの明大八王子と砲丸投の2人、女子では100mHと円盤投でも東京勢に入賞の可能性がある。
男子4×400mRの明大八王子は砂川響介(3年)が、大会2日目の400mで3位以内に入ればリレーに勢いが付く。男子砲丸投では原裕斗(八王子2年)が昨年のインターハイ8位で、今季高校リストでも16m44で7位につけている。三浦大翔(東京3年)も16m32でリスト9位。
女子100mHは廣田ひかり(東京)が13秒54(+1.0)で今季高校リスト10位、インターハイ出場選手では7番目に付けている。女子円盤投の圓成美(藤村女3年)は今季高校リストでは12位だが、リスト3位の選手とは2m0の8差しかない。さらに今季高校リスト1位で臨む2日目の砲丸投に優勝すれば、円盤投でも相乗効果が現れるだろう。
【執筆者】 : 寺田辰朗 寺田的陸上競技WEB

