【インターハイで輝いた東京勢③】女子走高跳の3位争いを制した谷口が2年連続入賞。“集中”が好成績のキーワードに

 今年の高校日本一を決めるインターハイの陸上競技が7月30日から8月5日まで、滋賀県彦根市の平和堂HATOスタジアムで開催された。女子走高跳では谷口天音(白梅学園高2年)が1m70で3人が並んだ3位争いを制し、昨年の7位に続いて2年連続入賞を達成した。谷口は好成績の要因を自己分析した時、“集中”という言葉を何度も口にした。

●同じ1m70でも去年と今年で違い

 課題も感じたインターハイだったが、谷口の表情やコメントからは、自身の成績に満足していることも伝わってきた。

「今日の試合でテーマ、目標としていたことは、自分の跳躍にちゃんと“集中”して、自分の力を全国の舞台でも出せるように頑張ることでした。1m70台は昨年はたまたま跳べた感じでしたが、今年は力が付いて、跳ぼうと思って1m70以上にチャレンジしていけています」

 その集中力が3位争いを制した。1m70の高さで3選手が並んだが、谷口は最初の高さの1m64から1m67、1m70と全て1回目の試技でクリア。失敗試技が一度もなかったことが3位を決めた。

「(1m70の跳躍は)はまり切った跳躍ではなかったのですが、助走の最初から(助走後半で)内傾をして踏み切りまで行く流れを切らさず跳躍ができたことが、跳べた理由だと思っています。それでも(細かい部分では)もう少し合わせられるところが多い跳躍でした。(その反省を)次につなげていきたいです」

 昨年は1年生ながらインターハイで7位に入賞したが、記録は1m64で、失敗試技もあって6位になれなかった。1m70台もシーズンを通して4月の1試合だけで、9月のU20日本選手権は1m60で16位、10月のU18競技会は6位に入賞したが記録は1m62だった。

「大きい舞台ほど、崩れる時にすごく崩れるタイプでした。(勝負どころの高さの)最後の試技で、思うような動きができないことが多かったんです。そこはまだ課題ですが、今日は周りの雰囲気に流されず、自分の跳躍だけに集中することができて跳べたのかな、と思います」

 谷口の3位が今大会の1~2年生では最高順位。谷口以外にも4人の1~2年生が入賞しているので1年後も厳しい戦いになるが、「来年は優勝したいです」ときっぱり話した。

 そこに向けての課題も自覚している。

「跳べている時は自分の世界にすごく集中しています。逆に跳べていない時は、周りが跳んでいる流れに乗れなかったり、ここ1本で決めないと勝てない時に弱かったりします。そういったところを今年の残りのシーズンと、冬期で頑張って行きたいです」

●予定通りのインターハイ成績と昨年のスランプ

 表情に満足感が表れていた一因に、入学時に描いた高校競技生活のステップを予定通りに上がっていることがある。

「1年でインターハイに入賞して、2年では3位以内に入ることが目標でした。自分の立てた目標をクリアできたことがすごくよかったです」

 インターハイに関しては青写真通りだが、前述のように崩れることもあった。その象徴が昨年のインターハイ1カ月後の大会で「1m50に終わったこと」だった。

「気持ちの調整だったり、後半シーズンもしっかり動ける体作りもあまりできていなかったり。次の高さが1m54くらいで今までの自分なら跳べる高さなのに、急に跳べなくなってしまって。その後のシーズンも納得のいく跳躍があまりできなくて、U18競技会は3位以内を目標にしていたなかの6位でした。大会前日に先生とすごいミーティングをしました。どうしたらいいかわからないけど、来たからにはちゃんと結果を残して帰りたい。色々な思いがありました。すごく苦しかったというほど思い詰めてはいませんでしたが、ちょっとしんどかったです」

 立て直すために、どんなことに取り組んだのだろうか。昨年中に2度目の1m70台を跳ぶことはできなかったが、地道な取り組みをシーズン後半、冬期練習、今シーズン前半と続けた。

「昨年は1本悪い跳躍が出た時に、全部悪くなってしまう感じでした。でもそういう1つ1つに流されず、目の前のこと、いつもの練習の小さいことから大事にしていきました。今まで自分がどんな気持ちでやっていたのかなど、土台から作り直すくらいの感覚でやってきました」

 今季は4~5月に1m60台後半を続け、1m70台を6月の東京都高体連第5・6支部学年別大会、7月の国民スポーツ大会東京都代表選手選考会、そして8月のインターハイと跳び続けている。

「以前に比べたら多少は、自分なりに集中できるようにはなっていますが、もっと1本1本に集中して、どの跳躍でも自分の良い跳躍を出せるようになりたいと思います」

 記録的には今季中に1m76を跳ぶことを目標としている。そして来年は「1m80の東京都高校記録(谷野美重・1987年)」がターゲットだ。

 東京都高校記録は40年近く更新されていないが、東京は走高跳で男女とも強豪選手を輩出してきた。

「(昨年の東京世界陸上、今年のアジア大会と代表の)髙橋渚(センコー)さんの跳躍は、見ていてすごいと思うところもありますし、自分にないところばかりです。比べられないくらいにすごい選手ですが、同じ東京で世界と戦っている選手がいる。憧れでもあり、励みにもなります。そういう選手に自分もなれたらな、と思います」

 インターハイの入賞は谷口だけだったが、瀨上真央(八王子高2年)も1m67で13位、青柳美玲(駒場高2年)も1m64で20位に入った。来年も東京都内の大会から3人が切磋琢磨することで、東京の走高跳がレベルアップしていく。

執筆者】 : 寺田辰朗         寺田的陸上競技WEB