【日本選手権2026・2日目展望】男子100mに桐生、山縣の9秒台2人と好調のデーデー。山縣、女子800mの久保、女子100mHの福部と日本記録保持者3人が登場

 今年の陸上競技日本一を決める日本選手権は6月12~14日、名古屋市のパロマ瑞穂スタジアムで男女34種目が行われる。一番の焦点は9月に同じパロマ瑞穂スタジアムで開催される名古屋2026アジア大会の代表選考会という点だ。アジア大会には五輪&世界陸上のような参加標準記録はないが、日本陸連が派遣設定記録を定め、その記録を突破している日本選手権優勝者は代表に内定する。代表争いに加わりそうな東京陸協登録選手と東京の高校出身選手を、日付毎に紹介していく。

●派遣設定記録を破っている男子100mと女子100mH、破っていない女子800m

 男子100mに東京陸協登録選手が多数出場する。日本記録(9秒95)保持者の山縣亮太(セイコー)、日本人初の9秒台(9秒98)を出した桐生祥秀(日本生命)、昨年10秒00(+1.3)の学生歴代2位で走った守祐陽(渡辺パイプ)、東日本実業団優勝の三輪颯太(小泉)、そして今年の静岡国際、木南記念とグランプリレースを2連勝したデーデー・ブルーノ(セイコー)ら。山縣とデーデーはアジア大会派遣設定記録の10秒15を破っていないが、日本選手権の予選、準決勝、決勝のどこかで破るだろう。

 今季10秒06(+1.4)で走っている小池祐貴(住友電工)、10秒08(+0.3)の小室歩久斗(中大2年)、10秒10(+1.4)の多田修平(住友電工)らがシーズンリストの上位を占める。その3人と東京勢との対決になりそうだ。優勝すればアジア大会代表に決まるが、期待されるのはアジア大会で勝負するための記録で、9秒台から10秒0台前半を日本選手権で見たい。

 女子の日本記録保持者2人が登場し、ともに3回目の優勝を目指す。女子800mの久保凜(積水化学)は24年、25年と高校生ながら2連勝を達成。昨年は1分59秒52の日本新もマークした。しかし今季は、冬期に故障があったため準備が十分にできず、社会人初戦の木南記念(5月10日)は2分07秒47の6位。同30日のMDCは2分02秒76(優勝)まで持ち直したが、シーズンリストでは2分02秒62の塩見綾乃(岩谷産業)にリードを許している。

 2分01秒67のアジア大会派遣設定記録には、誰も達していない種目。優勝に加え、記録も意識しながらのレースになる。

 100mH日本記録(12秒69)保持者の福部真子(日本建設工業)は、22年、24年に続く優勝がかかっている。13秒08の派遣設定記録は7人が破っているため、勝つことが求められるレースとなる。

 また女子400mの寺本葵(アットホーム)と女子走幅跳の高良彩花(JAL)には、日本選手権2連勝がかかっている。

●東京の高校出身の男子800m田邉、女子走高跳の髙橋と森﨑

 2日目も東京の高校出身選手に注目したい。男子800 mでは都広尾高出身の田邉奨(中大2年)が今季、木南記念で1分45秒57、MDCで1分45秒32と東京記録を2度更新。アジア大会派遣設定記録の1分46秒28も突破済みだ。日本記録保持者の落合晃(駒大2年)と、日本歴代2位のクレイ・アーロン竜波(ペンシルバニア州立大)が出場しない。勝負優先の展開が予想されるレースで、田邉の400m45秒39のスピードがどう生かされるかに注目したい。

 女子走高跳には東京高出身の髙橋渚(センコー)と、明星学園高出身の森﨑優希(日女体大3年)が出場する。髙橋は昨年2月に1m92と室内日本記録を更新。屋外も含め日本人選手としては12年ぶりに1m90以上をクリアし、9月の東京世界陸上にも出場した。世界陸上は予選を通過できなかったが、1m88と自己2番目タイの高さを成功した。アジア大会派遣設定記録の1m89を、日本選手権で跳ぶことも十分可能性がある。

 森﨑は昨年10月の国民スポーツ大会に1m85で優勝。自己記録を24年までの1m77から昨シーズンだけで8cmも更新した。

 今季のシーズンベストは髙橋が1m85、森﨑が1m75と2人ともいまひとつで、石岡柚季(日女体大AC。東京陸協登録)が4月に跳んだ1m86が今季日本最高である。髙橋は2~3月の出場を2試合と、例年より少なくした。ピークをシーズン後半に持っていくためだろうか。森﨑は昨年も、5月時点では1m76がシーズンベストだった。

 2人とも調子を上げていくのは6月以降。日本選手権からが本番だろう。

執筆者】 : 寺田辰朗         寺田的陸上競技WEB