東京選手権は4月24~26日に駒沢オリンピック公園総合運動場で行われた。女子走幅跳では同一チームの選手が1~4位を独占し、話題になった。八王子高の近藤花奏(2年)が5m93(-0.3)で優勝し、新坂空亜(1年)が5m53(+1.2)で2位に、岩橋彩吹(1年)が3位、渡邉紗穂(1年)が4位と続いた。八王子高は五輪&世界陸上の男子走幅跳で入賞した橋岡優輝(富士通)を輩出するなど、跳躍種目の強豪高校だ。東京選手権では女子跳躍3種目で、八王子高のインターハイ上位候補選手が躍動した。

●近藤の大幅自己新の要因は?
近藤が自己記録を大きく更新し、インターハイ入賞が狙える5m93(-0.3)で優勝した。これまでの自己記録は昨年7月に跳んだ5m72(+0.9)。大幅自己新の要因を「いつもよりリラックスして気負わずに跳べたことと、走りの調子が良かったこと」と自己分析した。
100mも4月2日に12秒76(-0.1)と、昨年7月に出した12秒88(+0.2)を更新していた。短距離のスピードがそれほどあるわけではないが、渡辺大輔先生によれば「馬力のある跳躍ができる」ことで、高校トップレベルの記録をマークした。
「昨年はつつくような踏み切りでしたが、それを基本に忠実な形に修正して、東京選手権でもできるようになってきました。ギャロップなどのジャンプドリルで、腰が弾かれるポジションを探す練習をしてきました」
昨年は7月に走幅跳と100mの自己新を出し、同月末のインターハイも、本番で自己新を出せば入賞も望める状態だったが、インターハイには出場できなかった。出発する前日の練習で足首を負傷し、現地に行って直前まで様子を見たが、欠場せざるを得なかった。
「直前でしたし、調子も結構良かったので悔しかったですね。今年は入賞したいです。6mが記録的な目標で、それを跳べばインターハイも入賞できます」(近藤)
そのためには5月の東京都予選を優勝で、6月の南関東予選を3位以内で通過したいという。昨年出られなかった思いも、今年のインターハイ路線にぶつけていく。
●新坂&岩橋の1年生コンビがどこまで伸びるか?
2位(5m53・+1.2)に続いた新坂は、昨年の全日本中学選手権で8位に入賞した選手。自己記録は5m84(+0.7)で、昨シーズン段階では近藤を上回っていた。
「今日は自己記録更新はできませんでしたが、助走の最初でしっかり地面を押して前に進む走りができました。今後も続けて踏み切りにちゃんと合わせて、記録につなげていきたいと思います」
新坂はU16大会三段跳でも7位に入賞した実績を持つ。11m60(+1.8)だった自己記録を4月3日に、11m92(+1.6)と伸ばしている。八王子高の走幅跳選手層が厚いこともあり、インターハイ路線は三段跳に専念する。
「三段跳は12m20が今年の目標記録で、インターハイは入賞できるように頑張ります。走幅跳も6mを跳んで、少しでも大きい大会に出られるように頑張りたいです」
インターハイに出場しない選手が6mを跳んだとしたら、ある意味快挙となる。

東京選手権の3位(5m33・+2.3)に入った岩橋は、昨年の全日本中学選手権に5m54(+1.3)で7位に入った選手。8位の新坂とは同記録だった。U16大会でも3位に入賞し、自己記録は昨年跳んだ5m67(+1.9)である。
東京選手権の苦戦は助走の改良中が理由で、踏切板に合わせられなかった。
「どんどん(スタート位置を)下げて行ったのですが、合ったのが5、6本目で、その時も数ミリのファウルになってしまいました」
八王子高の強化スタイルに、合わせようと頑張っている最中なのだろう。「インターハイには絶対に出場したいですし、記録的には5m85を目指します」
インターハイ本番で5m80以上を跳べば、入賞の可能性がある。全国大会で自己記録前後を跳ぶのは簡単なことではないが、今年の八王子高はインターハイ複数入賞の可能性があるチームになっている。
●女子三段跳と走高跳にも全国上位候補
八王子高は女子三段跳でも酒井珂璃那(3年)が12m47(+2.1)で優勝し、女子走高跳では立山侑佳(2年)が1m66で2位、瀬上真央(2年)も1m66で3位と、跳躍種目を席巻した。
酒井は冬期練習の成果を、「つま先で突っついてしまう走り方から、ちょっとずつフラット接地への変更ができている」ところに感じている。自身の持つ東京都高校記録、12m49の更新は、遠くない時期に実現するだろう。

「去年、12m49を跳んだ時は手応えがあっての12m49でしたが、今日の12m47はそこまで手応えがなかったので、もう少し跳べると思います」
昨年のインターハイ6位、国スポ少年A5位、U20日本選手権7位と全国大会で確実に入賞した。「今年は13mくらいを跳んでインターハイに優勝したい」と目標を設定している。走高跳の立山も「1m70台を跳んでインターハイ入賞」を目標にしている。
跳躍種目でここまで多くの選手が育っているのは、走幅跳で2000年シドニー五輪代表だった渡辺先生の指導があるのは間違いない。
走幅跳の岩橋はチームの代表争いが激しくなることは覚悟の上で、八王子高に進学した。
「渡辺先生がいることが一番の理由です。走幅跳に力を入れていない高校でインターハイ(路線)に出ても、今後の伸びは期待できないと思いましたし、八王子高で3人に入らなければインターハイも上位は狙えません。走幅跳を極めようと思って八王子高に進学しました」
走高跳の立山も「瀬上さんに自己記録は2cm負けているので、お互い刺激をし合いながら練習できています」と、八王子高の女子跳躍種目のレベルが高いことをプラスにとらえている。
今年の八王子高は、インターハイ女子跳躍3種目で3位以内の快挙も、実現可能な布陣になってきた。
【執筆者】 : 寺田辰朗 【執筆者のWEBサイト】 : 寺田的陸上競技WEB

