国民スポーツ大会(青の煌めきあおもり国スポ・10月15~19日)に向けたトラック&フィールド種目の第一次強化合宿が、8月22~23日に北区のナショナルトレーニングセンターで行われ、選手17人、スタッフ13人が参加した。インターハイで健闘した選手、インターハイで悔しい思いをした選手と、合宿には高校生が多数参加。【Part 1】では彼らの合宿でのトレーニングの様子や、国スポへの意気込みを紹介する。

●今季高校リスト1位、清水が合宿で行ったメニューは?
国スポの選手団人数は29人。成年(高校卒業後)、少年A(高校2~3年)、少年B(中学3年~高校1年)、少年共通(中学3年~高校3年)のカテゴリーに分かれるが、実施される種目数の関係で高校生選手が最も多くなる(選手団リスト)。
インターハイ(7月30日~8月5日)が高校日本一を決める大会だが、そこで悔しい思いをした選手たちは国スポを、リターンマッチの大会と位置付けることができる。その思いの強い選手の1人に、男子少年共通走高跳の清水怜修(明星学園高3年)がいる。
清水は3年前の中学チャンピオン(全国中学選手権優勝者)。高校1年でインターハイ10位(2m03)、2年で国スポ4位(2m09)など着実に実績を積み重ねた。今季は「インターハイ、U20日本選手権(10月3~4日)、国スポの3冠」を目標としたが、インターハイで7位(2m04)と敗れてしまった。
合宿初日はバーベルを持ってのランジウォーク、高さの異なるボックスジャンプなどを行った。「インターハイで課題が見えた基礎体力の向上」(明星学園高・比留間修吾先生)に取り組んだ。
初日の練習を清水は次のように振り返る。
「ランジウォークは脚が先行してしまって、腰が乗らない感じになることも多いのですが、今日は骨盤をしっかり前にして腰で受け止められたと思います。ボックスジャンプは高いボックスから降りるときはタイミングを取るのが難しくて潰れてしまうのですが、低いボックスから高いボックスに行っていったときは、ちょうど良いタイミング、しっかりした接地ポイントが取れたと思います」
明星学園高の練習でも行うメニューだが、清水個人に合わせた重さややり方にアレンジして行ったという。
2日目は2m21~25と自己記録(2m12)を大きく上回る高さにバーをセットし、実際に跳躍を行った。バーにぶつかっていくことになるが、清水が高校在学中に跳びたいと考えている東京都高校記録の2m20、高校記録の2m25の高さを、実際の跳躍動作のなかでイメージすることが目的だった。これも明星学園高でも行っている練習だが、合宿ではいつもとは違うスタッフや他種目の選手が見ているなかで跳ぶ。試合に近い緊張感で跳躍することができたようだ。
国スポはインターハイのリベンジではなく、お世話になった人たちへの「恩返し」と位置付けている。「高1から国スポに出場させていただいてきて、着実に順位は上がっています。今年は優勝を目指して頑張ります」



●インターハイの雪辱を国スポで
男子少年A5000mWの堀千秋(富士高3年)と男子少年A300mの砂川響介(明大八王子高3年)も、清水と同じようにインターハイで想定を下回った。また少年B砲丸投(5kg)の廣川泰輝(東京高1年)は、インターハイ南関東予選で8位。あと2人、という順位で全国大会出場を逃している。
堀はインターハイ5000mWで4番目にフィニッシュした後に、歩型違反で失格が宣告された。さらには脱水症状になり担架で運ばれている。「緊張と焦りで給水が取れませんでした。国スポではメダルを取ることが一番の目標です。青森はコンディションも良いと思うので、東京都記録の20分11秒91や19分台を目指します」

砂川は4×400mRの3走として母校のインターハイ2位に貢献したが(こちらの記事★https://toriku.or.jp/news/7239/参照)、個人種目の400mでは今季高校リスト5位(47秒08)で臨んだものの、まさかの予選落ちに終わっている。その雪辱を果たしたいところだが、国スポの種目は300mと距離が短くなる。「スプリントが速い人が(スタミナ型の自分より)有利になります。この合宿で100mの速い選手や成年選手たちから、技術面や陸上競技への考え方などを学んでいます」。優勝が簡単なことではないことを踏まえた上で、「インターハイでは悔しい思いをしたので国スポにぶつけたい」と決意を見せた。
廣川は昨年の全日本中学選手権では9位で、あと1人というところで入賞を逃した。高校で全国優勝をするために、数々の強豪選手を輩出してきた東京高に進んだ。「先輩たちも強いし、小林隆雄先生のアドバイスは簡単な言葉で動きをイメージしやすい」と、東京高の環境で成長している。
7月には16m42と、少年B学年では全国トップの記録をマークした。「国スポでは18mを投げて優勝したいです」。初めての国スポ合宿でも、先輩たちと積極的にコミュニケーションをとっていた廣川なら、その目標を達成する可能性が十分ある。

●インターハイ入賞者たちの決意
インターハイで3~4位に入賞した男子少年共通110mH(高さ99.1cm)の淺内湧一朗(日大豊山高2年)、男子少年A300mHの藤原啓寬(駒場東邦高3年)、女子少年共通やり投の新井里奈(南多摩中等高3年)は、国スポでの目標をどう設定しているのだろうか。
藤原は大会前の今季高校リストでは9位(52秒09)だったが、インターハイ400mHでは4位(51秒47)と健闘した。種目が300mHへと変わるが「できれば3位以内に入りたい」とメダルを意識して国スポに臨む。ただ、砂川と同じように、距離が100m短くなることで目標を定めにくい部分もある。「まずは入賞をして得点を取りたいです。少しでも積み重ねられたら」と考えている。

新井もインターハイ地区予選終了段階では入賞圏外と見られていたが、7月に硬いやりに変更して記録が安定し、インターハイでは4位と健闘した。野球部と陸上競技部を兼部している選手で卒業後は野球に絞るため、インターハイを陸上競技最後の試合と考えていた。だが国スポの東京代表に選出され、「あわよくばメダルを取りたい。そのためには東京都高校記録(47m97)を投げないといけないといけません」と目標を設定している。

淺内はインターハイ110mH(高さ106.7cm)で3位。優勝した髙城昊紀(宮崎西高3年)は2位に0.20秒差をつけていたが、2~4位は0.01秒差の中に3人がひしめく激戦だった。淺内はインターハイでは優勝を目指していた。国スポでも頂点を目標としていると思われたが、高さが低くなる国スポ規格のハードルは「苦手な方。メダルを狙えれば」(淺内)と控えめな目標にしている。
それに対して「目標はずっと優勝です」と意気込むのが、男子少年Aやり投代表の上田惺(都駒場高3年)だ。インターハイは60m72で6位。優勝記録は64m77で4m05の差があった。右ひじの状態も完璧ではなく、国スポ後は治療を優先するという。「ひじが持ってくれる限り、1点でも多く取りたい。あわよくばメダルも取りたいと思っています」

9月中旬に公表されたエントリーリストでは、少年共通走高跳の清水と少年B砲丸投の廣川が資格記録で1位、110mHの淺内が2位につけている。東京の高校生選手は、複数種目で優勝争いが期待できる。
【執筆者】 : 寺田辰朗 寺田的陸上競技WEB

