【日本選手権2025東京勢レポート1】男子200mは鵜澤が20秒12の日本歴代4位で優勝し世界陸上代表に内定! 世界陸上のラウンドも想定した走りとは?

 25年の陸上競技日本一を決める日本選手権が7月4~6日、東京・国立競技場で男女34種目が行われた。東京勢は男子100mの桐生祥秀(日本生命)、女子棒高跳の小林美月(日体大3年)ら10種目に優勝する活躍を見せた。中でも男子200mに20秒12(±0)の日本歴代4位タイで優勝した鵜澤飛羽(JAL)は、標準記録突破&日本選手権3位以内という選考規程をクリアし、9月に同じ国立競技場で開催される東京2025世界陸上代表に内定した。鵜澤の日本選手権の戦いは、世界陸上のラウンドの進め方もシミュレーションしていた。

●50年ぶりの3連勝で強さをアピール

 日本人初の19秒台も期待されていた鵜澤だが、今大会は“強さ”を示す走りに重点を置いていた。予選は1組1位、20秒28(+0.9)は日本選手権予選でマークされた最高タイム。2位には0.30秒差をつけたが、「記録以上に強さを証明することが、これからは絶対大切になってきます」と強調した。

 決勝は前半から2位以下を大きく引き離し、2位にも東京陸協登録の西裕大(MINT TOKYO)が続いたが、鵜澤は0.41秒と大差をつけた。23年、24年に続き3連勝。この種目では1975年の友永義治(4連勝)以来の快挙となった。タイムも20秒32(-0.2)、20秒43(-0.2)、そして今年が20秒12(±0)と上がり続けている。

「3連覇することで“鵜澤は強いぞ”ということを知ってもらえたと思いますし、来年以降も鵜澤だったら負けないだろう、という雰囲気を作っていきたい」

 5月3日の静岡国際で20秒13(+0.8)と、標準記録を突破した。日本選手権は3位以内に入れば代表が決まる状況だった。世界陸上本番も予選、準決勝と順位を取り続けることで、今季一番の目標である世界陸上決勝の舞台を走ることができる。

●「タイムももう少し欲しかった」

 鵜澤も、記録が必要ない、と言っているわけではない。タイムについても再三言及している。

「(静岡国際の20秒13、アジア選手権優勝時の20秒12、そして日本選手権の20秒12と)20秒1台を平均して出せるのは強くなっている証拠です。日本選手権の予選は世界陸上の予選を突破できる走りを、決勝は世界陸上の準決勝を突破して決勝に行ける走りをイメージしていました。20秒2台、1台で走ったのは目的通りなんですが、もう少し欲しかったですね」

 国内の試合では先頭を気持ち良く走ることができ、走りやすいシードレーンも問題なく与えられる。記録が出やすい状況なのだから、世界陸上で求められるタイムの少し上を出しておきたかった。

 しかし日本選手権で見せた鵜澤の強さは、19秒台も時間の問題であると思わせる走りだった。20秒03の日本記録を03年の日本選手権でマークした末續慎吾(当時ミズノ)は、同年のパリ世界陸上で銅メダルを獲得した。近年のレベルを考えるとメダルまでは難しいが、鵜澤も世界陸上での決勝進出が期待できる。実現すれば末續、東京の高校(城西高)出身のサニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ。17年ロンドン世界陸上7位)に続き、3人目の男子200m世界陸上ファイナリストが誕生する。

 【執筆者】 : 寺田辰朗          【執筆者のWEBサイト】 : 寺田的陸上競技WEB