東京都代表の拓大一高が快挙を達成した。男子第76回・女子第37回全国高校駅伝が12月21日、京都市のたけびしスタジアム京都付設駅伝コース(男子は7区間42.195km、女子は5区区間21.0975km)に都道府県代表47チームと、地区代表11チームの計58チームが参加して行われた。拓大一高は1区から入賞ラインに近い位置でタスキリレーを行う健闘を見せ、アンカー7区の林昊希(2年)が2人を抜き2時間03分34秒の7位でフィニッシュした。東京勢の入賞は1995年の國學院久我山高の6位以来30年ぶり。國學院久我山高が19年に出した2時間04分48秒の東京都高校記録も更新した。快挙はどのように達成されたのか、青柳友博監督に取材した。

■1区[10km]木村悠未(2年)
区間13位・29分35秒
チーム13位・8位チームと18秒差
「ハイペースは予想していました。その中で木村は冷静に7kmまで走り、そこから順位を上げていく走りをしました。東京都高校駅伝で失敗した悔しさをバネに、気持ちを入れ替えて関東高校駅伝で好走した経験が、全国でも生かされた走りだったと思います」
■2区[3km]相川健太(3年)
区間13位・8分20秒
チーム11位・8位チームと31秒差
「相川はビビらなければ走ると思っていました。東京都高校駅伝、関東高校駅伝のときは躊躇してしまった部分がありましたが、自分の力を信じて思い切って走ってくれたと思います。8分20秒前後で走って欲しいと思っていたところ、8分20秒ピッタリでした。全国大会本番でようやく力通りの走りをしてくれました」
■3区[8.1075km]山田莉生(1年)
区間13位・24分14秒
チーム9位・8位チームと9秒差
「もらった位置が良かったので流れに乗ることができました。中間点を過ぎたら必ず前がいるから、獲物をとらえるように走ることを期待していましたが、本当にそういう走りをしてくれました」
■4区[8.0875km]寺内 頼(3年)
区間16位・23分44秒
チーム10位・8位チームと13秒差
「すぐ後ろに集団がいたので、その集団で走ることになりました。集団がばらけたときに前の集団に付きたかったので、そこに付けなかったことは本人も心残りではあると思います。しかしキャプテンを4区に置けたことで、1、2、3区の選手は安心してタスキをつなげたんじゃないかと思っています」
■5区[3km]上吉川諒矢(3年)
区間13位・8分48秒
チーム12位・8位チームと10秒差
「上吉川はおそらく、前後を走っていた選手に自己記録などタイム的には劣る力だったと思います。しかし彼は3年間で一番力を付けた選手で、一番下から這い上がってきたような選手なんです。その思いを3kmにぶつけて、全てを出し切ってくれました」
■6区[5km]古屋瑠佐(2年)
区間9位・14分33秒
チーム9位・8位チームと2秒差
「5区の上吉川が順位は2つ下げましたが、タイム的には8番以内に少し近づきました。上吉川と古屋は同じ中学の先輩後輩で、先輩からタスキを受け取って、絶対入賞するぞ、という気持ちで走ったと思います。アンカーの林も同じ地域(新座)の同級生で一緒に練習してきた仲間です。自分がしっかり走れば林が絶対入賞を決めてくれると、信頼感を持って走れたんだと思います」
■7区[5km]林 昊希(2年)
区間4位・14分20秒
チーム7位・8位チームに2秒差
「林はこの1年、寺内や木村、山田と同じ練習をして、余裕も持ってやれていたのですが、練習の力を試合で出せないことが課題でした。それが関東高校駅伝では少し出すことができたんです。そのときと同じくらいの走りができたら入賞できるんじゃないかと思っていましたが、全国では関東を上回る走りをしてくれました。相手に勝ったということより、自分に勝ってくれたと思います」
Q.選手たちが力を出せた理由は?
青柳監督 春の高校伊那駅伝でも8番に入ることができましたし、東京都高校駅伝もみんなが力を出して優勝できました。関東も力を合わせて3位に入って、格上と思われる相手にも勝ってきたチームです。記録も選手たちが立てた目標が2時間04分59秒で、全選手が今の最大の力を出してそのタイムだと考えていました。自分たちの力を出すことに集中したことで、今回の結果が得られたのだと思います。選手たちの集中力が素晴らしかったと思います。
Q.レース後の反響はいかがでしたか?
青柳監督 もう皆さん喜んでいただいて、本当にありがたいです。多くの方に注目していただいき、その中で結果を出せて本当によかったと思っています。応援していただけているのだと改めて実感しました。
Q.今回の結果が東京都の長距離界に、どんな影響を与えられそうですか?
青柳監督 陸上競技の他の種目でも、短距離や跳躍、投てきでは東京から日本一の選手が育っていますし、入賞は当たり前になっています。駅伝だけ入賞できないのはおかしいと、ずっと思っていましたし、入賞できるはずだと思って頑張ってきました。今回の拓大一高を見て他の学校も、自分たちもできると思ってもらえると思います。東京がさらにみんなで競い合って、強くなって、東京は入賞が当たり前になっていく。そうなっていくきっかけになれば嬉しいですね。
【執筆者】 : 寺田辰朗 【執筆者のWEBサイト】 : 寺田的陸上競技WEB

