【東京選手権展望】男女混成種目、女子円盤投、男子走高跳がハイレベルな戦いに高校生・中学生選手の成長にも注目を

東京選手権は4月24~26日に、駒沢オリンピック公園総合運動場で男女34種目が行われる(男女ハンマー投は5月5日に実施)。女子円盤投には齋藤真希(太平電業)、川口紅音(ウィザス)、辻川美乃利(内田洋行AC)と、昨年の日本選手権2~4位の選手が集結。男女混成競技は「愛知・名古屋2026 アジア競技大会に係る参考競技会」に指定され、女子七種競技は25年日本選手権優勝の田中友梨(スズキ)が、男子十種競技には同2位の森口諒也(オリコ)が出場する。

 高校生選手も多数エントリーし、全国的に注目されている中学生選手も出場する。若い力がどんな成長を遂げているか、にも注目したい。

●日本トップ選手たちのエントリーは?

 過去に日本代表になったり、昨年の日本選手権で上位に入ったりした選手たちが、以下の種目でエントリーしている。

<男子>

▽100m:ケンブリッジ飛鳥(東京陸協)

▽400 mH:児玉悠作(ノジマ)

▽走高跳:佐藤凌(AC湘南組)、坂井宏和(センコー)

▽棒高跳:澤慎吾(きらぼし銀行)

▽円盤投:安藤夢(つくばTP)

▽十種競技:森口諒也(オリコ)、佐田征義(渡辺パイプ)、前川斉幸(ひまわりネットワーク)、山下朋紀(長谷工グループ)

<女子>

▽400mH:益子芽里(長谷川体育施設)、新戸怜音(VIDA)

▽円盤投:齋藤真希(太平電業)、川口紅音(ウィザス)、辻川美乃利(内田洋行AC)、藤森夏美(X-TRUN)

▽七種競技:田中友梨(スズキ)、梶木菜々香(ノジマT&FC)、熱田心(岡山陸協)、大玉華鈴(日体大SMG)、大熊楓(東女体大A C)、下元 香凜(東京学芸大)

 レベルが高い戦いになるのが男子400 mHだ。25年1月1日以降に出した資格記録(以下同)が49秒09の児玉、49秒24の岡村州紘(長野県信用組合)、49秒62の山本竜大(SEKI A.C.)の3人が出場する。児玉は23年ブダペスト世界陸上代表で、48秒77の記録を持つ。3人の争いは、48秒台で決着する可能性もある。

 男子走高跳も有力選手が激突する。前回は坂井が2m16で優勝したが、資格記録で2m20を持つ坂井、2m17の藤田渓太郎(佐竹食品)、2m16の佐藤の3人が2m20以上のバーに挑戦しそうだ。佐藤は19年ドーハ世界陸上代表で、藤田は2m28の自己記録を持つ。そして4月19日の兵庫リレーカーニバルでは、坂井が2m25と自己記録を大幅に更新した。

 その3人に高校生の清水怜修(明星学園高3年)が、どんな戦いを挑むか。清水は昨年の国民スポーツ大会少年共通4位の選手で、2m12の自己記録を持つが、勝負強さも特徴の選手。優勝記録が2m15前後になれば、清水にもチャンスがある。

 ケンブリッジ(リオ五輪4×100mR銀メダリスト。100mで五輪&世界陸上に出場)の復活や、5m61の自己記録を持ち、昨年の日本選手権3位の澤の記録にも注目したい。

●連勝がかかった選手たちと、再起が期待される選手たち

 東京陸協の呑口健強化委員長は、自身も砲丸投の元トップ選手だったこともあり、男女の円盤投に注目している。

「女子は58m47(日本歴代3位)を持つ齋藤選手が出場したら、やはり強いと思いますが、川口選手と辻川選手も基本を大切にしたオーソドックスな投げで、安定した強さがあります。辻川選手が6連勝したら素晴らしいですね。男子の安藤選手は今季すでに53m台を投げて、出だし好調です。アキレス腱を痛めてから自己記録(56m40)を更新できていませんが、やってきたことの成果が少しずつ現れています。今季への思いは強いんじゃないでしょうか」

 安藤も勝てば3連勝だが、男子やり投の角田直之(ゴールドジム)も5連勝に挑戦する。角田の優勝記録は22年・72m67、23年・74m11、24年・72m15、25年・65m62。自己記録は21年に出した76m14である。

「技術が高く安定している選手です」と呑口強化委員長。「71~74mは安定して投げるのですが、本人としては75m以上を狙っていると思いますよ。東京選手権で一度、グンと投げられたら今季は日本選手権の入賞も期待できます」

 日本トップレベルの自己記録を持つが、しばらく更新していない選手も多い。ケンブリッジの10秒03は20年、山本の49秒12も20年、佐藤の2m27は19年、藤田の2m28は20年、澤の5m61は19年、安藤の56m40は18年、辻川の54m46は19年。高島咲季(わらべや日洋)の200m23秒76と、400m53秒31は19年。ヒリアー紗璃苗(わらべや日洋)の800m2分04秒73も19年だ。

 自己記録を出した頃と競技環境が変わり、記録更新が大変な選手もいるだろう。だが自己記録の更新は、競技を続けている限りモチベーションとなる。そうした選手たちにとって東京選手権は、レベルの高い相手と競り合ったり、技術を確認したりできる絶好の機会となる。自己記録への道筋をイメージできる大会としたい。

●全国大会で活躍が期待できる高校生たち

 男子走高跳の清水以外にも、インターハイで活躍が期待できる高校生も多く出場する。全国大会であるインターハイ、国民スポーツ大会、U18大会、U16大会で昨年入賞した主だったメンバーは以下の通り。

<男子>

▽100m:増田陽太(八王子高2年)

▽110mH:冨永笙ノ介(明星学園高3年)、淺内湧一朗(日大豊山高2年)

▽400mH:藤原啓寛(駒場東邦高3年)

▽走高跳:清水怜修(明星学園高3年)

<女子>

▽100m:新井凛生(ペンタスAC)

▽走高跳:谷口天音(白梅学園高2年)

▽走幅跳:新坂空亜(八王子高1年)

▽三段跳:酒井珂璃那(八王子高3年)

▽円盤投:横倉楓(八王子高2年)

 増田(10秒48)、冨永(13秒91)、新井(11秒98)、谷口(1m70)、新坂(5m84)、酒井(12m49)は資格記録が、エントリー選手中トップ。優勝候補でもある。

 だが、男子100mでは小島璃大(立教池袋高3年)も10秒48と増田と同じ資格記録を持ち、昨秋の東京都高校新人戦では小島が同タイムで増田に競り勝った。女子走高跳でも立山侑佳(八王子高2年)が、新人戦では谷口に3cm差で勝っている。

 全国レベルの戦いになるのが男子110mHだ。冨永がインターハイ2位、淺内がU16大会優勝。大会のレベルを考えると冨永の実績が上になるが、昨秋の新人戦では淺内が0.01秒差で競り勝った。

 他にも女子800mで2連勝がかかる田中琉愛(八王子高3年)ら、新人戦で優勝した選手が多数出場する。高校生選手の成長ぶりを見ることも、東京選手権観戦の楽しみ方の1つである。

 そして今年の東京選手権は、全国トップレベルの中学生たちも見られそうだ。短距離では女子100mの新井が、昨年の沖縄全日中4位の実績を持つ。長距離では女子800mの高橋希ノ葉(したまちAC)が、今年1月の全国都道府県対抗女子駅伝3区で区間2位になっている選手。今季すでに2分14秒23で走っていて、「ヒリアー等、社会人選手に引っ張られることで大きくベストが出るのではないかと期待しています」と呑口強化委員長。

 跳躍では女子棒高跳の深澤結心(片柳クラブ)は昨年度、小学生で3m50を跳んだ逸材。中学1年生での東京選手権優勝の可能性がある。若い力が駒沢で爆発しそうだ。

執筆者】 : 寺田辰朗          【執筆者のWEBサイト】 : 寺田的陸上競技WEB